2017年7月20日
当院の登山者健診担当の川本医師が先日「夕刊フジ」の取材を受けて記事に掲載されました。
元記事:「登山中の遭難死原因で多い「心臓病」のナゼ 無自覚の「隠れ心臓病」から突然発症」(夕刊フジウェブサイトZAKZAK)
以下、全文です。
登山中の遭難死原因で多い「心臓病」のナゼ 無自覚の「隠れ心臓病」から突然発症
梅雨が明ければ、夏の登山シーズンが到来。登山中に起こりやすい病気の1つに「心臓病」がある。40歳以上の人は、自覚のないまま動脈硬化が進んでいる場合があるからだ。山に登る予定があれば、事前の対策、検診をしっかりやっておこう。
【健常でも血圧上昇】
登山中の遭難死の原因として、心筋梗塞などの「心臓病」は「外傷」「低体温症」に次いで多い。なぜ、発症しやすくなるのか。藤寿会佐藤病院(東京都荒川区)で登山者検診を担当する川本雅司医師(日本登山医学会認定山岳医、帝京大学医学部教授)が説明する。
「国内北アルプスの診療所のデータでは、40歳以上の人は入山1~2日で正常血圧者でも47%が高血圧になり、もともと高血圧の人では75%が血圧コントロール不良になると報告されています」
血圧が上がれば、心臓への負担が増え、ついには心臓自体の酸欠(狭心症や心筋梗塞)を招くという。
【夜行バス登山は注意】
国内の別の研究では、登山開始から6時間以内の発症が多いという報告もある。登り始めて体が慣れてくると、疲労や苦痛を感じにくい「クライマーズハイ」の状態になる。そこに脱水が加わることで、狭心症や心筋梗塞を発症しやすくなる。
「特に夜行バスで行く登山は要注意です。睡眠不足だと、交感神経が優位になって心臓に負担をかける上、登山開始前から脱水になっている可能性もあるからです」
いずれにしても、自分は健康だと思っている中高年者は注意。いつ狭心症や心筋梗塞になってもおかしくない無自覚の「隠れ心臓病」の人が突然発症するのだという。
「登山中に胸や肩、首が痛くなり、心臓病の疑いがあれば無理に動かず、警察に通報して救助ヘリを呼ぶしかありません。携帯電話が不通なら周囲の登山者にも協力を求めてください」
【対策は運動習慣】
登山中の心臓病を防ぐには、事前に普段から運動をしておくことが大切という。隠れ心臓病の人は、この時点で発見につながる。
「バックパックの登山の運動強度は7メッツ。これはジョギングなら10分以上、スイミングではクロールと同程度です。ウオーキングの運動習慣では足りません」
ちなみに本格的な登山では8メッツ以上。ランニングでいえば、1時間で8キロ走るのに相当する。生活習慣病のある人は登山前に主治医に相談することも大切。主治医のいない人は登山者検診を行っている医療機関で検査を受けておこう。
「心臓病の持病があっても登山ができないわけではありません。主治医の指導にしたがって管理をきちんとすれば、ある程度の登山は可能です」
《登山時の注意ポイント》
★睡眠不足での登山はNG
★登山中は30分おきに200~250ミリリットルの水分補給を(できれば登山開始前に500ミリリットルくらい水分をとる)
★歩く速さは、会話しながら登れるペースを目安に(一番遅い人のペースに合わせるのが鉄則)
(東京都指定二次救急医療機関)
東京都荒川区西尾久5丁目7番1号
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FAX03-3894-8108
午前 8:30~11:50(診療9:00~)
午後 13:15~16:50(診療14:00~)
休診:日曜、祝祭日
取扱保険:社会保険、国民保健、労災保険、生活保護